学習

アクチュアリー数学対策として非線形回帰の手法をわかりやすく解説

アクチュアリー数学に頻出の回帰分析において、重回帰分析の応用として非線形回帰分析が出題されることがあります。指定教科書には具体例がありますが、それだけでは例題数が少なく応用が聞きづらいです。『ようこそ「多変量解析」クラブへ』に登場する非線形回帰の具体例がとても面白く理解しやすかったため、体系的に記事にまとめます。

本記事に登場する確率分布はこちらにてまとめています。

本記事ではデータを曲線上に当てはめるための式の導出を計算できるようにするための内容となっております。アクチュアリー数学受験者にとって最適な記事です。

重回帰分析の正規方程式の導出

まずは回帰分析で最もよく見る正規方程式を最短で導出しておきます。統計検定1級対策としても有効な方法ですのでシェアします。

正規方程式

非線形回帰分析の物理学への応用

まずはある惑星において物体を鉛直上向に放り投げたときに得られた時間と高さのデータを用いて、初速度と重力加速度を推定してみます。

そんなことができるのでしょうか?!楽しみです!

本記事で紹介する問題はすべて正規方程式に持ち込んで答えを出します。以下の公式は覚えましょう!

正規方程式
惑星の重力

ポイントはデザイン行列Xと行列Yはどのようになるのか?を調べることです。

与えられた式を行列表示することによってあっさり求まってしまうのですね!

リサージュ曲線への当てはめ

リサージュ曲線

ポイントは回帰係数を右側に出すことです。

傾いた放物線への当てはめ

放物線

ここでは横向きの放物線と直線の和関数をモデルにしています。

対数螺旋への当てはめ

ベルヌーイ螺旋

本問では1周目の状況で近似してみました。2周目以降でも綺麗な綺麗な近似となることが知られています。

ロジスティック曲線への当てはめ

達成率などyに百分率を持ってくる分布はロジスティック分布を用いることが多いです。

ロジスティック曲線

頻出の問題になります。統計検定1級でもノーヒントで出題されるレベルです。

今までとは違って右辺に回帰の式を持ってくるように式変形をする必要がありますね。

傾いている楕円への当てはめ

楕円

こちらは結果に感動すること間違いなしの問題です。綺麗な斜め楕円が完成します。

本書ではこの後に判別分析への応用と続いていきます。流れがとても美しいです。

ようこそ「多変量解析」クラブへは名著です

ようこそ「多変量解析」クラブへ』は他にも独特の説明があって多変量解析全体の理解が深まる名著です。たとえばMDSに触れたあとに主成分分析因子分析と進んでいきます。この流れは因子分析などのイメージが図形的に湧きやすくなる訓練に最適です。

多変量解析の最初の学習時に本書を使うことはおすすめしません。永田先生の『多変量解析法入門』などで全体像をおさえてから『ようこそ「多変量解析」クラブへ』へ進むと良いです!

ようこそ「多変量解析」クラブへ』は統計検定1級の多変量解析分野で最頻出の因子分析を主眼として扱っている参考書のため、統計検定受験者にとっても神書となります。

多変量解析は深めていけばいくほど難しいですが、『ようこそ「多変量解析」クラブへ』などの数学書も取り入れながらビジュアル的に学習すると面白いですね。

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志田龍太郎

東京大学修士→30代セミFIRE元数学教諭(麻布高など指導)/アクチュアリー数学,統計検定1級(2024年に再挑戦)/数検1級→高3・漢検1級→教諭時代に合格/ブログ+SNS運営/AmazonAssociates連携

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