統計検定1級を2024年11月17日(日)に受験してきました。去年にも受験していますので、去年(受験記はこちら)との比較も込めての感想を書きます。
本記事を公開した時点では合否が判明しておりません。合否が出たらこのページでお伝えします。
結果はしばしお待ちください。
統計検定1級の過去問は役にたったか?
統計検定の過去問は過学習になると心配されている方もいらっしゃいます。過学習に関しては確かに統計検定準1級ではそうだと感じます。過去問だけで統計検定準1級に合格するのは困難です。例えば統計検定準1級では『日本統計学会公式認定 統計検定準1級対応 統計学実践ワークブック』を理解しながら学習できれば合格できます。
このように統計検定には各級に応じた対策法が存在します。
統計検定4級→対策法
統計検定3級→対策法
統計検定2級→対策法
統計検定準1級→対策法
僕は2023年度の統計検定1級に落ちてから1から出直すために統計検定4級から受験し直してきました。結果、統計検定準1級まで何の問題もなく短期間で合格してきました。
統計検定準1級まではほぼ苦戦しなかったのに、統計検定1級になると壁を感じます。どのくらいの壁かを実感いただけるよう、tweetを掲載しました。
統計検定準1級の方が統計検定1級よりも覚える内容が多く範囲が広いので、準1級の方が難しいとおっしゃる方もいらっしゃいますが、両方の級を受験した自分にとっての体感は、はるかに1級の方が高難易度です。
実際に受けてみないと肌感覚でわからない部分もありますしね。
では、統計検定1級がどういった部分で難易度が高くなっているのかをご紹介します。
2024年度の統計検定1級は難化しています
有識者のtweetなどで今年の統計検定1級は前年度よりも難しくなっているという意見が目立ちました。実際に僕もそのように感じました。
対策としては統計応用(人文科学)・共通問題・統計数理の過去問をそれぞれ何周もする学習を心がけました。ただし1つ欠点がありました。それは統計数理で難問を避けた学習に偏ってしまったことです。現に今年の統計数理の問題は明らかな難化が起きており、対応することができませんでした。
人文科学の過去問解説はこちら
共通問題の過去問解説はこちら
統計数理の過去問解説はこちら
統計検定1級の2012年度からの全過去問を購入して学習した記録です。ただし2024年統計検定1級受験直後時点で、統計数理のみ当日選択できそうな3問程度しか各年度の解説を行なっておりません。今後解説問題数を増やしていきます。
2024年度の統計検定1級は人文科学はわずかな難化。統計数理は明らかな難化が起きていました。
2024年度の統計数理の感想
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目白で降りてとある大学で統計検定1級を受験しました。ただ1つ想定外のことがありました。それは試験案内の女性の声がマイク越しでとても大声で耳が割れそうな感じがしたことです。正直想定外のことでしたので少し心が乱れてしまいました。ただ、その監督の方は一生懸命に業務をなさっていることを感じて、「自分も頑張ろう」と気持ちを落ち着かせて試験開始の合図を待ちました。
僕は問2、問3、問5を選択してしまいました。統計検定1級では最初にどの問題を選択したかで合否が決まると言い切っても良い試験です。それだけ試験時間が足りません。途中で選択をミスった!と気付いても先に進むしかありません。
問2は3/5=60%
問3は2/4=50%
問5は0%
なぜ問5がこの比率かと言いますと、この問題は順序統計量の問題で、初めに出す分布関数の計算でまさかの計算ミスが発覚したのが終盤の問題で、その問題は期待値が0になるはずなのに0にならなかったためです。同様に他の問題でも途中での計算ミスが発覚したことが連発したため、その見直しに時間を取られてしまって不合格確定となりました。
試験後にXを見たら有識者の方々は他の問を選択されているようでした。明らかに問題を見た時の鑑識眼が弱かったことが敗因でした。
今回の問題で『現代数理統計学の基礎』と同じ問題がありました。今回の問題で推定や検定の内容は合否を分けないと感じましたので、本書の前半〜中盤までをしっかりと学習することが、過去問学習の次に大切だと感じました。
また、最大の敗因としては過去問学習における難問を回避した学習でした。思えば過去問学習の時点で難問から逃げるという選択の時点で不合格が確定していたのかも知れません。
2024年度の統計応用(人文科学)の感想
統計応用の勉強をメインに頑張ってきましたので、「この1年の努力をここで出すんだ!」というモチベーションが高まり、午前の失敗を引きづらずに全力を出せた試験となりました。試験監督者の方々も丁寧なご対応をありがとうございました。みんな安心して受験ができたと思います。
人文科学は多変量解析の理解がどれくらいできているか?が合否を分ける試験だと確信しました。今後もこの傾向は続くでしょう。
項目反応理論の問題が出なかったことや、計算ボリュームや(典型問題から外れることによる)考えさせる量が増えていることから、前年度よりもやや難化しています。
統計応用はそれ自体が統計数理よりも難しいです。
有識者の方からのコメントで統計応用は文<理≪<医<経ではないか?というご意見をいただきました。
問1は3/5=60%
問2は=8/9=90%
問4は=2/5=40%
そのため計算ミスなどの減点がなければ全体では合格ラインを超えたとは思います。しかし統計検定1級の採点は甘くはないと感じているので合否が出るまではなんとも言えない感じです。
反省点としては多変量解析の理解不足、そして過去問の違った角度から捉える理解力不足がこの点数を招いているということです。ちゃんと理解していないと得点できない試験だと実感しました。
ただし去年の統計応用と比べると手応えは結構ありました。その些細な成長の実感が、努力したことの対価だと考えれば納得のいく受験だったと思います。
アクチュアリー数学が12月に控えていますね。
そうですね。去年は統計検定1級よりもアクチュアリー数学の方ができた実感がありました。この流れでいくと、今年はアクチュアリー数学は良い勝負ができそうです。最後まで頑張ります!
統計検定1級で役に立った参考書
最後に今まで、そして今後の統計検定1級の合格に直結する参考書を紹介します。上にあるものが優先度が高く、下にいくほど人を選びます。
統計検定1級過去問
過去問を解かずして合格はあり得ません!また近年の統計検定1級では古めの問題の類題も出題される傾向にありますので要チェックです。以下にコスパよく購入できるリストをまとめました。
日本統計学会公式認定 統計検定 1級 公式問題集[2012〜2013年]
日本統計学会公式認定 統計検定 1級 公式問題集[2014〜2015年]
日本統計学会公式認定 統計検定1級 公式問題集[2016〜2018年]
日本統計学会公式認定 統計検定1級 公式問題集[2019~2022年]
統計検定1級の教科書『統計学』
統計検定1級の公式教科書『増訂版 日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学』はあまり良くないレビューも目立ちますが、本書は他書にはない統計数理に良く出てくる式変形や、幅広い分野の統計応用の全体像がうまくまとまっています。すなわち本書で学習できるようになることが合格ラインを突破できるか?の1つの目安となります。
データ解析のための数理統計入門(青本)
有識者の方から最近の統計検定1級の出題傾向に傾向に沿っていると評判が上がってきている名著です。近年の大量の小問を時間内に解き終える強靭な計算力を取得するために大量の問題が載ってます。僕も1から解いて記事にアップしていこうと思います。
今後の統計検定1級の統計数理専用のバイブルになる参考書であることは間違いなさそうです!
多変量解析の章は最後にありますがあっさりとしています。本書だけで内容を理解するのは至難の業です。対応策は後述します。
次の白本から難易度が高すぎる問題を除いた理想的な参考書がこの青本ですね。
現代数理統計学の基礎(白本)
言わずももがなの超有名参考書『現代数理統計学の基礎』です。特に最近の難化傾向のある統計数理に対処するために過去問には登場していない有名問題に触れられるのは本書だけです!
Rによる多変量解析入門
永田先生の『多変量解析法入門』が統計検定準1級相当ならば、本書は統計検定1級の人文科学のための参考書です。パス解析周辺がしっかりとしており、論述問題対策としては本書をよく読み込んでおくことで当たる問題があるかも知れません。
項目反応理論が出たらラッキーです
本書『項目反応理論[入門編](第2版)』の第2章までを学習すれば人文科学の問題は解けます。ただし情報関数の部分だけが未出ですが『増訂版 日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学』との連携で補えます。
統計検定準1級のワークブック
意外かも知れませんが、本書のボリュームは相当です。本書の後半はほとんど多変量解析となっており、人文科学との相性は最高です!
標本調査系は難問が多いです
人文科学の範囲である標本調査法は本書が最も内容が多く載っていますが、とても難易度が高いです。試験でも難問が多い部分なので本書を購入するかは学習者の力量に寄ります。
統計検定1級の合格を目指して共に頑張りましょう!!