アクチュアリー数学の対策で過去問の大問の題材として使用されることの多い本について解説していきます。
『基本確率 (経済の情報と数理 2)』という本ですね。有名な『合格へのストラテジー』とは違うんですね。
合格へのストラテジー、略称「合スト」はアクチュアリー数学を受けるために最低限覚えていないといけない公式を集めた公式集です。巻末に問題がありますが大問1と大問2の小問集合のレベルなので大問の対策としては弱い部分があります。
『基本確率 (経済の情報と数理 2)』とほとんど同じ問題が出ていた時期もあるのですがアクチュアリー数学受験者の中ではマイナーな本のため優先度が低くなりがちです。しかし僕は2023年度のアクチュアリー数学に不合格になっています。原因は本書に載っていた問題(大問としてそのまま)が解けなかったことだと感じています。他の受験者の方が同じ思いをしないように一緒に対策をしていこうと考えています。
アクチュアリー数学は統計検定1級よりも範囲は狭いのですが試験として別格の難易度です。そのためマイナーと言われる本書を攻略しないとならないと思います。
『基本確率 (経済の情報と数理 2)』の記事は内容を分割して全部で4部に分けます。本記事は第1部となります。
第1部:第1章と第2章(確率の出し方)
第2部:第3章と第4章(ベイズの定理)
第3部:第5章〜第8章(確率分布総論)
第4部:第9章と第10章(条件付き分布と極限理論)
本書がアクチュアリー数学でネタにされる理由として次のことが考えられます。本書の著者の前書きには次のように書かれています。
本書を執筆する上で、S.M.Ross教授の名著『A First Corse in Probability』は大変参考になった。
『基本確率』
調べてみるとかなりの問題が掲載されており、確かにアクチュアリー数学の過去問と似た問題や今後ネタにされると思われる問題がありました。そして『基本確率 (経済の情報と数理 2)』はその凝縮版という感じでした。つまり本書の例と演習問題を理解して解けるようになることはアクチュアリー数学の合格へ向けて大切な一歩になると感じています。
基本確率の第1章の例
一辺の長さを大きくすると確率は0に近づきます。
基本確率第1章の演習問題
『基本確率 (経済の情報と数理 2)』は難しい問題はほぼ初見と思われるレベルの難しさです。第2章ではポーカー問題があり、実際2023年のアクチュアリー数学に出題されました。本書は各章の終盤の問題はかなり難しいです。しかし自力で解けるようになるために各章の例が上手に配置されています。少しずつ頑張っていきましょう!
ボンフェロニーの不等式の本質的な部分です。初見ではまず解けないので解法を理解しましょう。
ボンフェロニーの不等式は積事象の確率の最小値を与えるものです。検定の際に使用されることがありますがその際は緩い評価となります。
基本確率の第2章の例
ここら辺から問題の難易度が上がります。制限をかけて場合の数を求めた後に、制限を外した総数を求める作戦です。
本記事でも組み合わせ記号はCではなく()で表していきます。
高校ではCで習いました。なぜ()で表すのですか?
組み合わせに関する公式が直感的に覚えやすいからです。組み合わせの性質に関する問題はのちに登場しますが()表記のわかりやすさを体感してください。
経験上、これらの性質は覚えていた方が良いです。アクチュアリー数学ではこの性質を公式としてとらえて式変形をしていく問題が意外と出ているためです。
特定の人物を2人固定する問題です。初見ではなかなかの難問です。
組み合わせを()記号とすることで本問の左辺と右辺の表され方に納得がいくのではないでしょうか。本問は超幾何分布とも似ていますね。
難問です。とにかく計算量が多いのが特徴です。関連問題は数学検定1級(2004年)の1次検定に登場しています。
本問の類題が東大数学で出題されています。
アクチュアリー数学に出ました。一度解いておけばそれほど難しい問題ではありません。ワンペアなどの序盤の確率の出し方が難しいです。ペアの箇所と、ペア以外の箇所に分けて考えることが大事です。
n個の場合の和集合を考える有名問題です。本問をネタにした大問が出てくれたら嬉しいですね!
基本確率第2章の演習問題
ペアに名前はないので分母でnの階乗を登場させます。模範解答では分母の部分がなかったので誤植かと思われます。
本問の類題は受験数学の神本『1対1対応の演習(数学A)』に掲載されております。
アクチュアアリー数学の有名参考書『合格へのストラテジー』に掲載されている公式の証明問題というわけでした。
本問もアクチュアリー数学で類題が出題されたことがあります。座標平面で考えることは一様分布関連の問題での特権のように感じます。
まだ第1部なのに結構な問題量でしたね。
『基本確率 (経済の情報と数理 2)』には大量の問題があります。難しい問題も結構ありますが、しっかりと実力がつく良問ばかりです。本書を手元に一緒に頑張りましょう!次回の記事(結論に驚かされる問題が多い回です)はこちらです。